あおばのつどい

第1回

未明に台風が通り過ぎるまで、開催できるかどうか微妙でした。ふつう行う前日の呼びかけも、台風の動きによっては高齢者の気持ちの負担になりかねません。明けてみると、やや暑いのが難ですが、台風一過の晴天です。しかし、季節外れの台風は、ご近所に大きな爪あとを残していました。あるお宅の前を通りかかると、まるで、塀など元からなかったようになぎ倒され、塀の上の瓦が散乱しています。何が起こるかわからない世の中、いざというときの結びつきの必要性を痛感します。
「日ごろから顔の見える関係づくりを」を、テーマに企画した<あおばのつどい>。台風の通り抜けた今日は、折しも、第1回目の日でした。80歳後半のAさんと、長年、地域活動に取り組んでおられるBさんが出席してくださいました。
社会福祉士の西田ちゆきさんから、石巻市で半年間にわたり仮設住宅で支援を報告してもらい、改めて地域の結びつきについて考える企画でした。まず、西田さんが被災地の写真をパソコンに映しました。しかし、画面から写真を見ることに慣れていないためか、遠くの被災地支援にいまひとつ関心が持てなかったのか、Aさんが明らかに上の空のご様子です。このまま続けても、地域の支えあいに発展させるのは難しそうです。そこで、急遽予定を変えて、Aさんにお困りのこと、希望する地域活動などインタビューさせていただくことにしました。以下、お話をまとめてみました。

Aさんのお話

@現在の生活について

同い年の夫と二人暮らし。買い物はヘルパーさんと一緒に行き、配達してもらう。調理には手間をかけている。2年ほど前骨折し、2月ほど入院し、車いすとなったが、今は近くまでなら杖で歩ける。ろうそくの火が消える前に明るくなるというが、最近は自分でも不思議なくらい、気力、体力が充実している。社説も含め、新聞を隈なく読むのが今の楽しみ。
息子は車を運転するのは危ないといい、ある日突然車がなくなった。かわりに遠出の時は個人タクシーを手配し、費用も負担してくれる。

A地域との関係について

回覧板などは姿が見えれば手渡しするが、いつもはポストに入れている。あいさつはしているので、地域との関係は悪くないと思う。近くに買い物に出かけたとき激しいにわか雨にあい立ち往生していると、向いの奥さんがこの辺で買い物しているのではないかと見当をつけて迎えに来てくれた。民生委員が誰かはあまり記憶にない。見守りカードを記入するよう渡されたが、必要性を感じないので、登録していない。

B活動について

デイサービスにも少し通ったが、あまり意味を見いだせなかった。俳句を長年たしなみ、かつては東京の句会に定期的に通っていた。地域の「俳句の会 を紹介されて出てみたが、満足できず数回でやめてしまった。今は、もっぱら、新聞に投稿し、たびたび採用される。人に俳句を手ほどきすることなどまったく考えていないし、本も感想など言い合うよりひとりで自由に読むのが好き。歌やフラワーアレンジメントにも特に興味はない。
年を取るとどんどんわがままになり、自分のしたいことだけしたい。協調性がないとは思うが、唯我独尊という気持ち。遠くに出かけることがなかなか難しくなったので、遠出し外食などする機会があったらうれしい。また、講演会などあったら参加したい。そのような注文をケアマネジャーにすると、むずかしいといわれる。

あおばのつどいを開催して

地域での高齢者だけの生活がいずれ立ち行かなくなるというのは、支援する側の思いです。しかし、ご当人は、その時はその時、今はだれにも合わせることのないマイペースの生活をできるだけ長く楽しみたいと考えているようです。両隣だけでなく、地域に「顔が見える関係」を作っていくのは、なかなか難題です。自宅以外の高齢者の第二の居場所とするためには、プログラムの魅力と人との関係を自然に作っていくスキルと両方が必要とされていると感じます。(小)

>第2回