講演・シンポジウム

「成年後見制度」市民セミナー

  2月9日、逗子市で開かれた神奈川県社会福祉士会主催の市民公開セミナー「成年後見制度を知る」を聴講してきました。


講談でわかりやすく


 1部は講談師の神田織音さんによる講談「成年後見を熱く語る」でした。神田さんは平成18年から神奈川県社会福祉士会と創作した、成年後見を題材にした講談をわかりやすく披露されています。現在、NHKラジオの日曜の番組でレギュラー出演などでも活躍されています。
成年後見の講談は実話をもとに創られているそうで、その内容は実像に迫った身につまされるものでした。中でもリフォーム詐欺事件を題材に、老いた姉妹が年金と4000万円の貯蓄を悪徳業者に騙されて失っていく過程は、現代社会が抱える大きな課題を浮き彫りにするものでした。最初は面倒見のよい相談相手を装いながら、被害者に近づき、孤独を紛わそうとする高齢者の気持ちに付け込むことで多額の金を巻き上げるという手口は悲しいことですが、現実には各地で起きていることです。成年後見制度がそういう被害を減らす一助になることを改めて感じさせてくれました。


また、きょうだい間における親の成年後見の活用例、さらには知的障害の子どもを持つ親のための成年後見にまつわる話をわかりやすく聞かせていただきました。


本人らしい生き方を支える仕組み


 講談の後は、横浜弁護士会弁護士・社会福祉士の千木良正さんによる「後見制度による仕組みと手続き」についての講演がありました。千木良さんは、成年後見制度が本人を支えるために必要な制度であること、法律では「契約」によって生活が困難になることは「不適切」だとする(無効)こと、また、「権利」を侵害することの考え方などを事例を用いてわかりやすく説明されました。そのほか成年後見制度の種類、任意後見制度、法定後見制度の申し立てに関する疑問、成年後見人の具体的な業務などについての説明がありました。


日本の人口のうち65歳以上は1970年には7%でしたが、昨年には24.1%にまでになっており、同時に高齢者同士の世帯や一人暮らしの世帯が増えています。成年後見制度は老後のために貯めてきたお金を守る仕組みでもあるということを改めて認識しました。


ただ、近年、制度を利用した横領事件などが起こっており、報告の時期を増やすなど今後の検討が必要な課題もあるということでした。 (倉西隆男)


>ひきこもり勉強会


>「ケアする人のケアセミナー」