NPO・ハーモニー虹 2005年創設 横浜市青葉区 nishida@k02.itscom.net |
講演・シンポジウムケアする人のケアセミナー11月17日、富山県高岡市で、財団法人住友生命社会福祉事業団と財団法人たんぽぽの家の共同主催により「ケアする人のケアセミナー “わたし”から始める支えあい」が開催されました。わたしは、第三分科会、「ケアする人のグリーフケア」のコーディネータでした。 高岡市とはどんなところ? 前日、JR高岡駅に16時半に到着しました。まだ、暗くなってはいませんでしたが、下校する高校生のほかは、町に人影がほとんどありません。薬屋でちょっとした買い物がしたくて、コンビニかドラッグストアのようなものを探しましたが見当たらないばかりか、ほとんどの商店はシャッターが閉まっていました。 介護者家族と若者スタッフにあふれた会場 ケアする人のケアセミナーですから、会場はざっと見たところ、40代から60代のおそらく介護者または介護経験者と思われる世代が多かったようです。また、会場で活躍していたのは、十数人の20代のボランティアでした。不登校や引きこもりの支援を行っている「コミュニティハウスひとのま」の会員が地元開催のセミナーの運営を手伝っていました。そこで、控室で接待役をしてくれていた女子大学生に、活動の内容や三世代同居、看取りなどについて聞いてみました。前述の高岡市の分析は、彼女の回答にヒントを得て、国勢調査と照合したものです。 肝心の「ケアする人のグリーフケア(第三分科会)」第三分科会は、基調講演の市原さんとつくば国際大学医療保健学部看護学科でグリーフケアを研究されている高橋聡美先生と担当しました。当初は富山市の介護・看取り経験家族が出席される予定でしたが、90代とご高齢のため体調不良で残念ながらお見えになりませんでした。市原さんの看取りの講演の余韻と、当事者の不在を補うべく父の看取りのプロセスを私が話してしまったために、前半は看取りに焦点が当たりすぎ、本論のグリーフワークがやや翳んでしまったきらいがありました。看取りのプロセスをどのようにたどるかによって、後のグリーフケアは大きく影響されることを伝えたかったのですが、そのあたりが不明確だったかもしれません。また、父のケアは横浜市青葉区の自立意識が旺盛な高齢者の看取りの道のりであり、高岡市あるいは富山県では実例としてはあまり適切ではなかったと後から感じました。 ハーモニー虹の活動への示唆として 今回のセミナーを通して、ハーモニー虹の方向性がより明確になった気がします。『地域・施設で死を看取るとき』でふたつの看取りの形を「消極的看取り」と「積極的看取り」と整理しました。しかし、消極的という語彙はいやいやかかわっているようで適切でない気もします。ことばを変えれば、「点としての看取り」と「面としての看取り」といえるかもしれません。ホームホスピス宮崎では前者、ハーモニー虹の目指すものは後者といえるでしょう。父を始め自立意識の強い青葉区の住民は、看取りに特化した家に移ろうとは思わない気がします。すべてを自分で選び決定してきたという意識が死の場面だけの例外を許さないからです。したがって最終段階までいってしまえば、どんなに無機質であっても、病院のほうがましと考えるでしょう。しかし、いずれ病院での看取りは減っていきます。それならば、意識がはっきりしていて、多少の体力が残っているうちに、死んでいける場所を選択してもらうしかありません。そのことを地域の人たちにわかってもらうように働きかけること、そして、訪問診療、訪問看護、訪問介護とつながった個人宅ではない看取りの場を創る、それがハーモニーの構想です。
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