みとり塾

第2回

 みとり塾の第2回は、2013年1月19日(土)に前回と同じ藤が丘地区センターで行いました。当NPO側を除き計4人が参加してくれました。
今回のテーマは、「みとりのための経済」。人の生き死ににお金は切っても切れないだけに興味深い内容でした。講師は当NPO副理事の西田ちゆきが務めました。西田は行政機関での勤務経験があり、老健施設では相談員のほか現在も成年後見人として活動中です。
 一口に「看取り」といっても、高齢者、知的障害、身体障害、難病などの障害者では大きく異なることを実際の費用を例を挙げ解説を加えていきました。
たとえば、ある高齢利用者の場合、有料老人ホームで6ヶ月の介護にかかった費用(要介護5)が300万円、病院でかかった医療費が2年間で440万円、その他生活費が4年間で240万円で、4年間にかかった経費は980万円に上りました。そのほか後見人として支援したケースのうち、ある利用者の生活費は年86万円ほどでしたが、ある利用者は約250万円と、大きく差がありました。これらは、その人のもっている判断能力やADLによって差ができることが明らかになりました。また、有料老人ホームと介護保険施設ではその費用も大きく違ってきます。入居する前には入念な確認が必要であることがわかりました。
報告からは利用者によりよい環境を提供するため複数の施設を探した苦労があることも示されました。横浜市内の病院は一般的に割高で、低所得者には、周辺の市町村の施設を探さざるを得ないようです。低所得者(要保護者)については近年、その処遇のあり方が国でも議論の対象になっていますが、病院には保護枠があり、要保護者でない人がかえって「介護難民」になってしまう危険性があることもわかりました。
その一方で利用者が生活保護制度を利用している場合、たとえば、生活保護が打ち切られた認知症患者のケースでは、最終的には特養で看取られたのですが、本人の意向についてどうだったのかといった振り返りがなされました。そうした場合の判断についていったい誰が判断するのかは、とても難しい問題になります。
しかも埋葬などの看取ったあとのことも見越した看取りをする必要も出てきます。亡くなった本人に聞くことはできませんから、あらかじめできる限り本人の意思を汲み取っておく必要があると思われます。
「成年後見制度」については、その類型を整理したうえで、現状では「後見類型」が「やりやすい」ことや、「鑑定費用の高さ」あるいは類型の分類が「制度の使いにくさ」につながっていることなどが報告されました。
 また、たとえば金融機関であっても成年後見制度が十分に認知されていない現状もあるということです。そのほか、医療に関する同意(たとえば手術の同意など)は法律で整備されないと解決が難しいことなども興味深い点でした。
その後、参加者を交えて討論が行われましたが、「老いること」で金銭管理ができなくなることが改めて確認され、誰もが常に考えておく必要があり、元気なうちからシュミレーションをしておく必要があることを再認識するに至りました。現状では後見人に対する報酬はじゅうぶんなものではありません。利用者の多くは年金で生活しており、金銭的にも余裕のない中で行われる「権利擁護」のための支援には多くの課題があるのです。(倉西隆男)

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