講演・シンポジウム

統合失調症を理解しよう

 報告が遅くなりましたが、2月16日、藤沢市障がい者地域生活支援連絡会主催の「お笑いタレント・松本ハウスが語る統合失調症のこと=vを聴講してきました。


病気からカムバック


いまから10年以上前、当時の人気テレビ番組「ボキャブラ天国」、「電波少年」などでブレイクしたお笑いコンビですが、その後、突如としてその姿が消えてしまっていました。コンビのひとり、ハウス加賀谷さんの統合失調症が悪化し、闘病されていたことはごく最近までは知られていなかったと思います。講演では楽しいコントを披露した後、病気の話に移りました。
 ハウス加賀谷さんは、中学校時代に統合失調症を発症しグループホームへの入所経験後、お笑いタレントとして活躍するも具合が悪くなり、閉鎖病棟への入院を余儀なくされるといった経過をたどり、ようやくカムバックを果たします。最近はNHK・Eテレの「バリバラ」にも出演中です。1時間ほどの講演では、これまでの歩みについて、素直でストレートな言葉で語られたことが集まった200人近い観客からは大きな拍手が湧き上がりました。


 具体的な内容は省略しますが、妄想や妄言のような状態での苦しみ、そこから這い上がるまでの過程など、その途中に、ご本人がいかに考えを深めていったかが、そのひと言ひと言から察しられました。辛い経験をした人だけが発することができる心の叫びそのものだったといえます。


「支える」ということ


 同時にまた、ハウス加賀谷さんの相方である松本キックさんの、彼への接し方がとても自然で、まさに「寄り添う」という表現がぴったりという存在だったこともわかりました。難しい理屈ではない、「支援」「援助」のあり方がどういうものなのかを改めて気づかされた思いでした。それはおそらく「支援する」もの「される」ものという単純な構図の関係ではなく、同じ人同士の並列な関係であることでしょう。


コメントとして「(ハウス加賀谷さんに対し)本人の自立を信じてあげたい」(松本キックさん)という言葉が印象に残っています。  一方のハウス加賀谷さんは今後の抱負について「毎日を充実させたい、幸せになりたい、長生きしたい」と答えていました。また、社会が精神障害への理解が遅れていることや「障害のある人が普通に暮らせるように」と答えていました。一方で、病をコントロールすることに、(ご自分がタレントであるが故にも)自らの感覚を鈍くさせているという主旨のことを述べられていました。世間の目から自分を守るための生き方を振り返ってのことのようにみえました。彼らのことはこの6月〜7月ごろに、書籍が出るそうです。手に入れて読んでみたいと思います。(倉西隆男)


「バリバラ(NHK)」
「松本ハウスの不思議な冒険」


担当者によると、現在国内には約35万床の精神科病棟に約33万人が入院をしており、その多くは条件が整えば退院が可能といわれる、いわば「社会的入院」だといいます。国は平成14年に「退院促進事業」(その後、地域移行支援事業)として、病院での生活から地域での生活へ移行できるよう取り組みを行っていますが、受け入れる地域の支援体制は十分とはいえないのが現状です。藤沢市では市内に298人いる社会的入院の方を受け入れるために、医療法人との連携や有限会社による共同住宅32室の運営等により、支援活動を広げているとのことです。

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